ほんまかいなシリーズ 60 ~お池にはまってさあ大変の巻き~

涙と感動! 笑いと哀愁 ウソのような私のドキュメント!
ほんまかいなシリーズ 60
~お池にはまってさあ大変の巻き~

私には、2歳上の姉、私、2歳下の弟、6歳下の弟がいた。 
つまり、私以下男の子が3人並んでいる。 
どこの家でもそうだが、男の子が三人も集まるとケンカが絶えない。 
その組み合せが、兄弟二人のひと組に対し、三倍に増える計算になる。

だからとにかくやかましい、常に私以外の誰かが泣いている。 

その泣き声が父の耳に届くと・・・スタスタとやってくるなり、理由に問わず長男である私の頭に「げんこつ爆弾」一個が投下され一件落着となるのが常だった。

 

でも、ケンカする迄はとても仲良しの3人兄弟だ。

実家の近所には、屋内が12畳ぐらいの広さで、
誰もいないそして玄関扉も無い・・・
「弥彦様」と呼ばれていた小さな神社がある。


・・・なので、カルタ、トランプ、鬼ごっこ、縄跳び、読書などと、
子供達の良き遊び場となっていた。
 
実はこの神社、越後全体を統括する新潟県で、
最も有名なる「弥彦(やひこ)神社」の支社だ。


さらに以前は、この社の後に「お城=堀越城」があったのだそうな・・・。
私の集落は250件程の大きな集落なので、
村内を(上、中、下、外城(とじよう)、坂町)の区域に分け統括されていた。 
実家の「外城」という区域は、この社の管理担当地区でもあった。

毎年正月になると
各家の代表が「お賽銭」代わりに、
自家製の長方形の「切り餅」を
各家の裁量により1個~5個のお餅をお供えて
神社に参拝に来られるのだ。
※お賽銭とお餅をともにお供えする人もあり。

 

「外城」区域の男子小学生達は、
お餅の整理や雪道の寒い中来られた人々へ
焚き火で手を暖めてもらうという・・・
参拝者への「おもてなし」をする役目があった。
※そのお餅は、後で皆で山分けをする。

そのお社の後ろには50坪ぐらいの大きさの泥池があり、
その中には「カエル」「ザリガニ」「タガメ」・・・

様々な生き物がいて、
人気だっのが「アメリカザリガニ釣り」だ。

それは、カエルを捕まえ・・・
残酷だがその”はらわた”を出し、
それをつり下げた状態で、
棒の先にカエルの足を紐でくくり付け、それを餌とするのだ。

彼らは、必ずハサミを広げた威嚇状態で釣上がってくる・・・。 
誰が沢山釣るれるか・・・競争であった。

 

さて長い前置きになったが、事件は私が5.6年生頃の冬だったと思う・・・。
冬になるとこの池には、厚い氷が張る事がある。
子供達が乗っても割れない自然のスケートリンクだ。


そのスケート靴はというと、冬の越後の正装グッズである「ゴム製長靴」だ。

皆思い思いに滑っていたある時、それはホントに偶然、20人全員が・・・
池の中心に集まってしまったのだ。


その直後 ”ミシッ” という音とともに、氷のリンク中央部から揺らぎだした・・・池の中心から氷が割れだす・・・するとさらに大きく氷が揺らぎ、中心の氷が水の中に・・・。

”きゃーっ” という奇声! 皆が一斉に池の外へ向かって散らばるように逃げ出す。

 

機敏な私は、すでに池の外へたどり着こうとしていた、
心は既に”助かった~”安堵感に包まれた・・・
と思った直後! 

誰かが、私の「足首あたり」を
後ろから掴んでいるではないか・・・

なので前に進めない・・・
それを抜こうとするも、ガッチリとつかまれ離してくれない・・・

”いったい誰だ~”と思いながら後ろを振り向く・・・、
それはすぐ下の弟だった、さらにその弟の足を
一番下の弟が必死につかんでいて、兄弟さっB人が数珠つなぎ状態。

斜めの氷の中に沈みかけている・・・。まもなく私の所も斜めの氷となった。

もう前進は不可・・・為す術なく数珠つなぎ三人組もろとも
蟻地獄のようにズブズブと池の中に沈没していった。 

周りを見回して見ると、水没したのは、私達兄弟の3人だけであった。

池はそう深くはない、私はすね半分程度、次男は膝上あたりまで、でも一番下の弟は、腰のあたりまで水に浸かった。

私以下三人組は、数珠つなぎ状態のまま、池から上がり、自宅に直行した。

私は、すぐさま「掘りごたつ」に潜り込み、炭の上を被う灰を払いのけ、暖かさ全開にし急速乾燥を始め、
証拠隠滅と完全犯罪をもくろむ。

すると隣の部屋からは、母の大声が聞こえてくる。
どうやら、母に見つかった弟二人が叱られている。
 
「だが、そこんところは、さすがに私はお兄ちゃんだ!母に見つかる様な・・・そんなヘマはしない!」

さて数分後、母が私のいる部屋に入って来た。
来るなり「ガバッ」と、まさかのコタツ布団を勢い良くめくりあげ!
・・・そう「炭の補充」にやって来たのだった。

と同時にコタツの中から、フア~ッと勢いよく立ち昇る「間欠温泉の白い湯気!」

“コラ~ッ!お前もか~!”  (チィィ~ン!)

 

『ほんまかいなシリーズ』はHPブログにて、

月1回程度のペースで発表中。

全部で60話以上の、

あり得ない実話を集めたノンフィクションシリーズだ。 

ブログで以前の記事も是非とも探してみてね~!

by くれい鍼灸整骨院 06-6327-6569